小粋なタワレコをお探しですか。こんなにあります。
タワレコの本質はその自由性にある
★今日のベビメタ
本日7月31日は、過去BABYMETAL関連で大きなイベントのなかった日DEATH。
&bsp;
魂が震える、という言葉があるが、Richardさん、AA-METALさんと一緒に行ったタワレコ渋谷店で購入した私立恵比寿中学の４thアルバム「エビクラシー」を聴いたとき、そんな言葉でさえ言い表せないくらいの感情が渦を巻いた。
特に、YouTubeにステージで涙を見せることなく歌い切ったライブ動画がアップされている「なないろ」を聴いたとき、一人きりの車内で嗚咽が止まらなかった。これは名曲である。
ご存知の通り、今年2017年2月8日、致死性不整脈によって、8人いたメンバーのひとり、松野莉奈が急死した。
東日本大震災の10日前、2011年2月27日に放送された「月刊MELODIX」の「アイドル下克上」（私立恵比寿中学VSさくら学院VS中野腐女シスターズ＆腐男塾）の時には、加入直後の柏木ひなたを含む最大12名だったが、2014年以降は何人かが脱退し、出席番号3番真山りか、5番安本彩花、6番廣田あいか、7番星名美怜、９番柏木ひなた、10番松野莉奈、11番小林歌穂、12番中山莉子の8人が固定メンバーだった。
アミューズのアイドルグループさくら学院は、「成長を見守る」日本特有のアイドルオタク心理を戦略化し、学校をコンセプトとして、ファンを“父兄”と呼び、学院祭と卒業式をメインイベントとしている。
同時期に結成されたスターダストの私立恵比寿中学も学校がコンセプトであり、ファンを“ファミリー”と呼び、ライブを学芸会ないしファミリー遠足と呼ぶ。
スターダスト・プロモーション所属のももいろクローバーZの妹分グループであり、芸能３部（３B Juior）のマネージャーだった藤井ユーイチ氏が“校長”（＝プロデューサー）を務め、楽曲制作の責任者には“音楽主任”として初期ももクロに楽曲を提供していたヒャダイン（前山田健一）が就任。
さくら学院との違いは、卒業がないこと。ベビメタ基準で申し訳ないが、最年長の真山りかは1996年12月生まれ（SU-のいっこ上）、YUIと胸キュンセリフ対決をした廣田あいかは1999年1月生まれ（YUI、MOAの学年いっこ上）、最年少の小林歌穂、中山莉子は2000年6月と10月生まれ（YUI、MOAの年齢いっこ下）である。
もう全員中学校を卒業しているが、まだ「♪永遠に中学生」である。
夏休みのお台場で開催されるTokyo Idol Festivalには、さくら学院と同じく2010年の初回から出演し、2012年まで出ていた。
つい先日、7月26日にはお台場フジテレビで「めざましテレビライブ」に出演し、白キツネ祭り＠Zepp DivercityのBABYMETALとニアミスした。
正直、ぼくはエビ中があまり好きではなかった。
ももクロ同様、ライブDVDを何本か見たが、全力で歌い踊るライブはももクロ譲りとはいえ、歌のピッチが悪く、歌い方もわざと乱暴に「…ぬぁ！」「…うぇい！」といった語尾にしているようで、あざとく感じた。ダンスもももクロほどのキレはなく、ただただ演出の派手さに乗せられて、若さとパワーに任せて騒いでいる感じがした。
むしろ、YouTubeにもアップされているBSフジのバラエティ「エビ中＋＋（たすたす）」のほうが、彼女たちの良さが出ている気がしていた。流れ星（ちゅうえい、瀧上）が進行役となり、「タモリ倶楽部」のように様々な場所を訪ねてロケを行うという、エビ中のサブカル・アイドル的な魅力を伝える番組だった。その印象だけで言えば、エビ中のメンバーは、ライブの騒がしさとは裏腹に、どちらかというと人見知りの「変った子」が多い。好みの問題だが、ぼくはこういう「変わった女の子」が好きだ。
最年長なのに、生真面目で遠慮がちな真山りか、アニメ声で、歌、カメラ、料理、鉄道と、運動以外のさまざまなタレントを持った廣田あいか、アイドルらしくおしゃれなのに“磯の匂いがする”（父親談）安本彩花、演技力抜群で、すぐに変顔とかモノマネをしてしまう柏木ひなた、おかっぱ頭のとんでもない日本美人なのに、猫背で声の低い小林歌穂、きゅうりをこよなく愛し、笑いのツボが理解不能な中山莉子など、多士済々の中にあって、松野莉奈は、スレンダーな長身で「見た目は大人、中身は子ども」という不思議なキャラクターで、全体の“番長”（心理テストの回）的な存在感を出していた。
番組は2015年の4月にスタートし、2年間続くはずだった。
病弱だったわけでもない松野莉奈が突然この世界からいなくなったことは、信じがたいことだった。
2月25日に行われた「送る会」には約２万人が参列したという。
その悲しみを乗り越えて5月31日に発売された「エビクラシー」は、姉貴分のももクロを超えて、念願のオリコン第1位を獲得。
それまでのエビ中の楽曲の印象は、インディーズデビュー曲の「エビ反りダイヤモンド」以降、上記した通り、パワフルでコミカルでノイジーな爆裂少女感に、廣田あいかのアニメ声が挿入されるサブカルアイドルというイメージだった。
しかし、「エビクラシー」を通して聴いてみると、親しい友だちを失った悲しみを表面に出すのではなく、忙しく過ぎ去っていく中で、松野の不在が日常化していく寂しさ、彼女の分までがんばらなきゃという決意と、不条理な状況に立ち尽くしてしまう瞬間の交錯など、きわめて微妙なメンバー全員の感情の襞が、表現力豊かに描かれているように思う。
「感情列車」「さよならばいばいまたあした」からの「なないろ」、「コミックガール」がおススメ。
ももクロは、早見あかり（青）の脱退によってZとなり、よりパワフルにスター街道を上り詰めていった。
松野莉奈の逝去は、それとは比べものにならない、取り返しのつかない不幸だが、７人になった私立恵比寿中学のメンバーは立ち止まらず、前を向いて歩き出している。「たすたす」の後継番組「スター☆ベガス」もスタートしている。
“永遠の中学生”という設定は、エビ中の場合コミカルに使われることが多かった。Kig of 学芸会というコンセプトが揺らぐことはないだろうが、松野莉奈の面影が永遠に刻まれることによって、エビ中の笑顔の中には強さが宿ることになった。その陰影こそ、アーティストとしての「成長」だろう。今のエビ中は強い。
&bsp;
さて、タイトルを「学校と成長」としたのは、本業である学校コンサルタントとして、きちんと書いておかねばならないことがあると決意したからである。
森友学園、加計学園と、このところ学校法人や文部科学省をめぐる“問題”が国会やマスコミをにぎわせている。
ぼくは、30年以上も私立学校の経営コンサルタントとして飯を食ってきたので、小学校新設や大学の学部新設について、どういう規制があり、どういう流れで物事が進んでいくか、たいていのことは知っている。これまで、学校法人の依頼で私立中学校を開設するとか、大学に学部を新設するとか、日本語学校を開校するとかの業務に携わったのは10校以上。
学校法人でない日本語学校や、教育機関ではないさくら“学院”や私立恵比寿“中学”が、正規に「～学校」と名乗れないのは、ほとんどの方が知らないだろうが、日本では「学校」とは一般名詞ではなく法律用語であり、それを管轄するのは文科省及び都道府県学事課の専権事項であり、その埒外で勝手に名乗ってはいけないという規則があるからだ。
森友、加計については、次回以降、るる述べたいと思うが、そもそも法律用語でいう「学校」と、一般庶民の思う学校は別物であって、後者の立場に立つ限り、そこは子ども（生徒・学生）が主役なのであって、学校経営者や政治家のおもちゃではない。ましてマスコミが面白おかしく政権叩きの材料にしてはいけない。あげつらわれた学校には、現に児童や生徒、学生が在籍しているのだから。
同世代としてはっきり言っておくが、ここがメディアの報道、もっといえばそれを作っているプロデューサー、制作請負業者、そして局の編成が、庶民の側に立っているかどうかの試金石である。現にその学校に通っている生徒、学生の顔が浮かばないスタッフは糞である。
それとは別に、ぼくは、教育という営み、そして学校とは、矛盾に満ちた子どもの「成長」の場だと思っている。
公教育制度や、個々の学校の経営者や校長や教員やカリキュラムが子どもを「成長」させるのではない。
どんな境遇にあっても、それが法律上「学校」と呼ばれなくても、大人がいて子どもがいるある種の環境は、子どもにとってかけがえのない学校であり、成長の舞台となりうる。
奇妙に響くかもしれないが、学校と子どもの成長とは全く関係がない。
そのへんを、時事問題やアイドル史を絡めて論じてみたいと思う。今のところ、着地点がどうなるか、わかりませんが。(^^♪
（つづく）
