ラスボス まいにち頑張る。
微小浸潤がんで、5年生存率が82%と
概ねTS-1の使用を必須ではないが
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そもそも有希子さんに連絡入れたら、自動的に優作さんにも知られるでしょう。蘭ファンはバックプリーズ。
新一は有希子が落ち着くのを静かに待った。
自分ですら絶句したのだ。自分より付き合いが長く、敵や犯罪者としてではなく、友人として付き合ってきた相手の思いを聞いて、冷静でいられる筈もないだろう。
「コナン君、これを」
「…何、これ」
「ベルモットからのプレゼント、だそうだよ」
「は…?」
「キュラソーの事は、妹とも、娘とも思っていた。今更だが、もうこれ以上組織に大切な者を奪われたくない。だからシルバーブレットまで奪われる前に行動を起こした、と」
「そ、れって…。え、と、もしかして」
「君が工藤新一だって事かい?彼と江戸川コナン、そしてアポトキシンの存在を知っていたら、結びつけるのは難しくはない。まぁ、ベルモットに言われるまでは仮定の域を出なかったけどね」
「そうですか。騙していてすみません」
「君の立場なら、正体を隠すのは当然だろう?寧ろ、そうしない方がおかしい。それに正体を隠す事に関して、僕はあれこれ言える立場ではないよ」
「でも、安室さんの立場なら、それこそ当然の事でしょう?」
「…降谷。降谷零だ。これからはそう呼んでほしい」
「解りました。もしよかったら、連絡先を交換しても?」
「ああ、勿論。流石にバーボン用は無理だけど、安室と降谷のものを教えよう」
このテープを渡された時の事を思いだす。
結果としてベルモットは、自分と降谷の協力関係も確固たるものにしてくれた。自分の方もベルモットに感謝しなければならない。今回の事だけではなく、自分の正体をずっと沈黙でもって守ってくれていた事に。
「新ちゃん。いいえ、新一」
どれだけの時間が経っていたのか、凛とした有希子の声が耳を打った。そして、次に聞こえてきたのは…。
「新一。まさか私抜きで話しを進めるつもりじゃないだろうね?」
「と、父さん」
「徹夜明けで寝室に来たら、有希子が泣いてるじゃないか。簡単に説明は受けたが、お前も何か考え込んでいたようだし…そろそろいいかな?」
「ああ」
有希子に帰国して貰う為に連絡したのだ。もとより優作に秘密に出来る筈もないし、してしまったらその後が怖い。
我が父親ながら、どうしてこうもラスボス臭いのだろう。新一は心の中で、ひっそりと溜息を吐いた。