ケラケラ 生活と文化を結ぶ
世の中はプレミアムフライデーとかで、居酒屋は混み合っていた
今日は、沢井さんの送別会
団体営業所の初期メンバーだったから、正直寂しい気持ちはある
智「なんだか、娘を嫁に出す気分だよ…」
「そーですよっ! たいして年齢変わんないんですから!」
ケラケラと楽しそうに笑う沢井さんのおかげで、うちの営業所は忙しい時期も、笑顔で乗り越えられてきたところがある
雅「来週からは、あの仏頂面かぁ…
沢井さーん、辞めないでよぉ!」
風「あはは、相葉ちゃんフラれてんの(笑)」
そのあとも、あの時は大変だったとか、無理難題を押し付けてきたお客さんのこととか、昔話に花を咲かせた
この仕事をここまで続けてこられたのは、所長のお陰だと思ってます
なんども、会社辞めたいって思ったことあったけど、最後に所長と働けてよかったです」
最後まで、明るく、笑顔で彼女は去っていった
翔「沢井さんにとって、今が辞め時だったんだよ
大野さんのせいじゃない」
小さくなっていく、若手3人の背中を同じように見ながら、翔くんが呟く
いつだって、翔くんは、おれの心を敏感に察知してフォローしてくれる
智「……そっか
結婚して、幸せになるんだもんな」
翔「そうだよ
さ、年寄りは帰りますか(笑)」
そう軽く言ってくれて、おれの気持ちも軽くしてくれる
智「……あ」
翔「え?なに、どうしたの?」
智「いや…、なんでもない
ちょっと顔に雨があたった気がして」
翔「え、嘘? 今日、雨の予報だったっけ?」
ごめん、嘘をついた
その間に、その見覚えのある人物が俺らの横をすれ違った
やっぱり、そうだ…
…にのみや、かずなり
彼が、男にしなだれて歩くのを、ただ、見つめた…
ケラケラは腹を切って詫びるべき
まいど!