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一つ前の記事を書いたあと、夫のスマホを充電して久しぶりにLINEを少し覗いたら。
救急車は即刻滅亡すべき
(ご指名入りましたーっ)
(えー帰らんとってー)
(今夜どうー?)
「…ふぅ行くか」
ガチャッ
((お疲れ様ですっ!))
「おつかれー」
(ryuさんご指名入りましたー)
(お願いしまーす)
「はーいっ
いらっしゃーい」
難波の街で一際輝く店
BLUE ROSE
大阪で一二を争うホストクラブだ
僕はここのNo.1
18でこの業界に入り
20になった今No.1に上り詰めた
(ryuくん今夜アフターもらっていい?)
「もちろんっ」
人が喜んでくれる
僕の言葉に皆が目をハートにする
僕はみんなを幸せにする
だけどたまに思うんだ
カチッカチッカチッ…
「ふぅ…好きってなんだろ」
この職業で一番使う言葉
でも実際良くわからない
みんなのことは好き
でも特別ではない
特別なものは?
「なんも感じないんよな」
「ほー余裕やな」
「輝音翔…」
「No.1の余裕ってやつか?」
「ちゃうよ
ちょっと考えてただけ」
「ふーん、てかアフターは?
誘われてたやん」
「そーやった
じゃあ帰るわ」
「おー頑張れよー
激しすぎるのはよくないで?」
「しないって」
「ホワイトやねーryuくんは」
「…そーやな」
「お待たせ」
(ryuーお酒買ったー飲も飲も)
「飲みすぎやで?
店でもいっぱい飲んでたやんか」
(関係ないって…
ゴクゴクッ…おいしー)
「…」
(フフフッ幸せ…
ウッ!!…)
バタッ
「え、ちょっと
どしたん!?なぁ!なぁっ!?」
突然倒れた
常連さんは
意識がなかった
なんかの病気?
と、とりあえず救急車!
「あれ、何番やっけ」
突然のことで
全く頭が働かない僕
そんな時やった
サッ
「119番」
「え…」
「大丈夫ですかー?
聞こえますかー?
…呼吸なし、脈なし
よし…
1.2.3ッ!!」
「えっと救急車
呼べました」
「そうじゃあ
体を温めてあげて
そのあとに
口の当たりに頬よせて
呼吸が戻るか確認してて」
「は、はいっ…」
突然現れたこの女性は
心臓マッサージをしながら
指示を出す
何者なんやろか…この人は
「あのっ貴女は」
「難波中央病院の医者」
「お医者さん
凄いなぁお医者さん
かっこえ…」
「1.2.3っ!!…ハァハァ
今そんなこと言ってる場合ちゃうし
急性アルコール中毒や
仕事か何か知らんけど
人の命奪うようなことして
楽しい?」
「っ…」
人の命を奪う?
僕が?
救急車のサイレンが聞こえる
そんな音より僕には
今言われたことが頭に鳴り響く
(どうされました!?)
「22歳女性
急性アルコール中毒により心肺停止
7分前より蘇生開始し2分前に蘇生」
(は、はいっ)
「難波中央病院に運んで
私が診ます」
(貴女は)
「難波中央病院救急救命科
山本です」
(お願いしますっ)
「あ、そや
アンタも」
ボンッ
「倒れんようにし
出してください」
ブーーーーンッ
彼女から投げられたのは
水やった
全てが早く進みすぎて
頭が回らない
とにかく僕は彼女に
今までに感じたことのない感情を
抱いてしまった