救急車のブーム情報

救急車の見方

外来診療でもブログのお問い合わせでも
とっても多い相談が

私は子宮全摘出術をした方が良いのか？

それとも手術しないで
様子を見た方が良いのか？

というものです

以前ブログでちょっと触れましたが
婦人科の病気は、比較的良性の疾患が多く
手術するかしないかの判断は
患者さん自身に委ねられる事も多いのです

良く言えば

治療方法を選択できる

のですが
それには、手術した場合の
利点と欠点をきちんと理解しないと
納得のいく判断が出来ないと思います

ですので、今回は
子宮全摘出術を考慮する際の
判断材料を羅列してみたいと思います

ただし

何が利点で、何が欠点かは
あえて言及しません

何故なら、ある判断材料が
利点になるか、欠点になるかは
人によって異なるからです

例えば【妊娠出来なくなる】
というのは利点になるでしょうか？
欠点になるでしょうか？

世の中には、不妊治療を何年も行っていて
どうしても妊娠したい人もいる一方

ピルを内服して
どうしても妊娠したく無い人もいます

もちろん、
癌の心配が無くなる
という明らかな利点や
手術による合併症のリスク
等の明らかな欠点もありますが

あえて、ただただ
判断材料を羅列していきます

これらを読んで
手術をした方が良いのか？
しない方が良いのか？
を判断する助けになればと思います

１、生理が無くなる

子宮を取ると、生理が無くなります
もちろん生理に関連した
貧血や生理痛も、もれなく無くなります

貧血に関しては
何度も何度も倒れるくらい出血があり
救急車で運ばれてくる人もいるので
あなどれません

そういう人にとっては
生理が無くなるとうのは
良い事かもしれません

ただ、生理＝女性としてのアイデンティティー
と感じる女性もいらっしゃいます

２、癌のリスクが無くなる

子宮頸癌、子宮体がん
のリスクはもちろん無くなります

若い女性の癌死亡原因の
ツートップは何と言っても
乳がんと子宮がんです

また、子宮摘出と共に
卵巣を摘出した場合
検診で見つける事が現状かなり困難である
卵巣癌のリスクも無くなります

ただし、卵巣は女性ホルモンを産生する場所なので
摘出する事で、更年期障害様の症状が出現したり
長期的にみたら、卵巣は取らない方が良い
なんていう話もあります

３、妊娠出来なくなる

現状の医療だと
子宮が無いと本人が妊娠する
事はできません

子宮が無い上で、
自分の遺伝子を持った子供を望むのであれば
自分の卵子と夫の精子からできた受精卵を
他人の子宮に移植する【代理出産】
という方法しかなくなります

４、性交渉時の感覚が変わる

外来診療で時たま相談されるのが
性交渉についてです

術後性交渉の感覚が変化した

術後は、膣の長さも
若干短くなるし

どうも子宮頸部（出口の部分）に
性感帯の様な物が存在するらしいと
言われており術後の性交渉が
何か変だと訴える人も結構多いです

この点については
術前であまり触れられない事も
良くあるので、一応覚えておいた方が
良いかもしれません

そのため
ヨーロッパの方では、
この理由から子宮頸部を残す摘出方法が
取られるケースも結構あるみたいです
（日本ではあまりその選択はしません）

ただ、子宮頸部を残すと
もちろん子宮頸がんの心配は無くならないので
判断が難しいですね

５、手術そのもののリスク

手術は一昔前に比較すると
かなり安全になりましたし
子宮摘出術で、命に関わる様な合併症が起こる事は
非常に稀です

しかし、手術によるマイナートラブルは
まだまだ多いのが現状です

細かいので少し分けます

１）傷について

以前解説しましたが、
術後の傷痕が強く残る事があります

術後の創のケア
↓↓

個人差がかなり大きいですが
傷痕に痒みがでたり
突っ張る様な感じがしたりします

２）術後の癒着

身体には、傷を自然に治癒する力があり
結果生じるのが癒着です

体内の傷は、他の組織がくっつき
傷を多い癒えていきます

くっついた組織がそのまま剥がれないのが
術後の癒着です

子宮は膀胱や直腸と
隣り合わせですので
癒着によって、排尿時の違和感や
排便時の痛みが残る事があります

また腸全体が癒着する事で
便秘がちになる事もあります

３）その他

手術の合併症は
かなり多岐にわたります
（確率が高いという訳では無く
バリエーションが多いという意味）

腸閉塞、創部離開、術後出血
感染症、痛み、発熱

等々

手術説明の時は
起こりうるリスクについて
本当に良く聞きましょう

６、スケジュールとの兼ね合い

子宮全摘出術を
開腹手術で行うと

入院期間が約１週間

そして、術後安静が
約１ヶ月です

仕事をされている人はもちろん
子供の面倒を見る人がいない！

等スケジュール的な事や
周りの助けの有無なんかも
手術するしないを決める時には
重要なポイントになるかと思います

また
子宮筋腫と妊娠計画

でも触れましたが

手術したい
と言っても、すぐに明日手術！

なんて事にはならず
手術の意志を固めてから
３－６ヶ月間待たねばならない事も
ざらにありますので、この辺りも
しっかり考慮していきたい部分です

さて、
今のところ思いつく事を
ただただ羅列してみました

最初に書いた通り
利点か欠点かには
特に言及していませんが

あくまで良性疾患の手術を
するのかしないのかを決めるのは
貴方自身です

後悔しない様な選択をして下さいね

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ちょうど３ヶ月前の今頃、脳腫瘍により痙攣を起こして一時心配停止となり救急車で運ばれました